
タイで会社を設立したい、と思った際に日本人がビザを取る条件として「日本人1人に対してタイ人4人の雇用が必要」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
この「タイ人4人の雇用」というのはタイ人社員4名がその会社で社会保険に加入し、その分の社会保険料を毎月納め続けることで証明されます。
ではその社会保険はどういったもので、従業員には何が保障されているのでしょうか?
目次
①タイの社会保険とは?何が保障されるの?
②加入対象者は?日本人も加入できる?
③社会保険料は?
④まとめ
①タイの社会保険とは?何が保障されるの?
タイの社会保険は社会保障基金(SSF)と労災補償基金(WCF)の2つの基金から成り立っていますが、毎月の支払いが発生するのは社会保障基金(SSF)の方になります。社会保障基金(SSF)で保障される内容は
1.健康保険
2.雇用保険
3.老齢年金
の3種類で、3か月以上社会保険料を納めることで権利を得ることができます。それぞれを簡単に説明していきます。
1.健康保険
健康保険では傷病、出産、心身障害、障害、死亡に対しての保障があります。社会保険指定病院の中から1か所を指定し、風邪などの際に基本的な治療を受けられるほか、保険内容によって「過去~カ月に~カ月以上保険料を支払っていることが受給対象」という条件はつきますが産休時や死亡時等にそれぞれ保険金が支給されます。
2.雇用保険
8日以上の失業となった際にに失業手当が支給されます。この場合、過去15か月のうちに6か月以上保険料を支払っていることが受給の条件となり、会社都合による解雇の場合には平均給与の50%を180日分、自主退職では平均給与の30%を90日分まで受給することが可能です。しかしながらどちらの場合も上限は15,000バーツとされています。
②加入対象者は?日本人も加入できる?
タイで社会保険に加入できるのは15歳以上60歳未満の人となります。また、60歳を過ぎている人の場合、新規加入はできなくなりますが59歳までに加入していた場合はそのまま加入を継続し続けることができます。
日本人を含め、Bビザ・WPを取得してタイで労働している外国人の加入も可能です。しかし会社の役員としてBビザ・WPを取得してしまうと社会保険の加入ができなくなりますので注意が必要です。(一般の社員として社会保険の加入後に役員になった場合は加入を継続することができます。)
③社会保険料はいくら?
社会保障基金(SSF)の1人当たりの社会保険料は上限を1,500THBとし、基本給の10%分と定められています。この社会保険料は雇用している会社と被保険者がそれぞれ半額ずつ負担します。(2024年4月時点)
例えば
〇基本給が11,000THB/月の場合
→10%の1,100THBの支払い(個人・会社の負担額はそれぞれ550THB)
〇基本給が15,000THB/月の場合
→10%の1,500THBの支払い(個人・会社の負担額はそれぞれ750THB)
〇基本給が20,000THB/月の場合
→10%は2,000THBだが社会保障支払い上限が1,500THBとなっているので、上限額である1,500THBの支払い(個人・会社の負担額はそれぞれ750THB)
となります。タイで働く日本人の場合、基本的に月給5万THB以上と定められていますので社会保険料は1,500THBの支払い(個人・会社の負担額はそれぞれ750THB)となります。
また、社会保険料算出時の”基本給”は役職手当など毎月変動しない固定の手当も含めなければならない等専用の規定がありますので注意が必要です。
④まとめ
今回は
①タイの社会保険では健康保険、雇用保険、老齢年金が保障される
②WPを取得すれば外国人も加入可能!
③社会保険料は最高1人当たり1,500THB/月
について説明させていただきました。タイで働いている方やタイ人社員のマネージメントをしている方々の参考になりましたら幸いです。
弊社では従業員の社会保険加入手続き等の代行も承っておりますのでお気軽にお問合せください。